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心肺蘇生四方山話

AEDと電気エネルギー

こんにちは。日本医療向上研究所の貞廣です。

心肺蘇生四方山話 第十二回のテーマは「AEDと電気エネルギー」です。

これまで「人工呼吸」「胸骨圧迫」についてのブログも書かせていただいております。合わせてご覧いただけますと幸いです(過去のブログはこちら)。

―AEDと電気エネルギー―

今回はAED(自動体外式除細動器;Automated External Defibrillator)のお話です。

心室細動や心室頻拍といった不整脈に対して、このAEDを使用していわゆる“電気ショック”を与えることにより心拍のリズムを正常に戻すことはみなさんすでにご存知だと思います。

一般的なAEDの電気ショックエネルギーは、150 J(ジュール)から360 Jと言われていますが、エネルギー量と言われてもなかなかイメージがつかないですよね。このエネルギー量が心臓に送られる際の電流は、心臓のインピーダンス(抵抗)によって変動しますが、通常約20~50アンペア、そして電圧は瞬間的に約1000~1500ボルトがかかっているそうです。電子レンジの場合、家庭用100ボルトの電源に6アンペアの電流を流して“600ワット”という設定にしたりしますよね。これに比べて電圧で10倍以上、電流で5倍程度、瞬間ではありますが、本物の除細動ではこのようなエネルギーが体に流れます。

さて、心肺蘇生ベーシックコースではAEDトレーナーを用いて除細動の訓練を行っています。AEDトレーナーは本物と同じように作られていて動作も同じ動きをするものの、ショックの際にはボタンを押しても実際には電流は発生しないため、やや緊迫感に欠けるところがあります。

これに対し最近急変対応アドバンスコースを開催させていただく機会が増え、除細動器のAEDモードを指導することが多くなってきました。高研のセーブマンやレールダルのALSシミュレーターを用いて実際にパッドを貼り放電する際に、ちょっとパッドの密着具合が悪かったりすると、“バチ!”と音がしてスパーク(火花が出る)します。そして少々白煙が・・・

これを受講生に実際に見ていただくと、AEDのトレーニングの一場面である、「ショックをします!離れてください!私よし、あなたよし、酸素よし、ショック!」と掛け声をかけることの重要性を一瞬で理解してもらえます。もし誰かが患者さんの体に触れていて電気ショックが行われたら・・・と考えるだけでゾッとしますよね。

もちろん実際に電流は発生しないベーシックコースでも、ショックの際は“離れてください!”を強調することを、しっかり“強調して”指導しています。

「急変に直面した時 対応が合っていたのかいつも不安になる」「突然の急変対応に ストレスを感じている」「自信がない」…といった不安を解消するための個人用コースです。

第三回は 少し先になりますが以下の日程で開催いたします。
ご自身はもちろん お知り合いやお仲間にもぜひご紹介いただければ幸いです。

また、病院や介護施設での急変対応セミナーの開催も行なっております。
内容は 各現場の環境や状況に合わせて柔軟にアレンジいたしますので、セミナーの開催やご相談などございましたら、お気軽にご連絡をお待ちしております。

株式会社 日本医療向上研究所
代表 / 医師 貞廣 智仁

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