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心肺蘇生四方山話

質の高い胸骨圧迫 その①ー圧迫のテンポについてー

こんにちは。日本医療向上研究所の貞廣です。

心肺蘇生四方山話。
第八回となります今回は、前回に引き続き「胸骨圧迫」をテーマに書かせていただきます。

―質の高い胸骨圧迫 その① 圧迫のテンポについて―

いざ急変に遭遇し、ご自身が胸骨圧迫を開始する際は、おそらく頭の中は真っ白になっているのではないでしょうか?

頭の中をさまざまな考えが駆け巡りながら、手は一生懸命胸骨を押し続けています。なんとか心拍が戻って欲しい、そう思えば思うほど力が入り、そして押すスピードも上がりがち・・・

心肺蘇生のガイドラインでは 圧迫のテンポについて「1分間あたり 100~120 回とする」とされています。でも心臓から少しでも血液をたくさん押し出して、全身に酸素を回すことを考えたらとにかくいっぱい押した方がよいのでは?と考えたことはありませんか?

あまりに回数が少ないと、1分間あたりの心拍出量が下がってしまうのはわかりやすいかもしれません。例えば1分間に1回押すよりは2回、2回押すよりは3回と、しばらくは回数に比例して心拍出量が増えていくことになります。ただし、とある回数から先は心拍出量がほとんど変化しなくなります。そのとあるところがだいたい100回くらいなのです。

なんでそんなことが起こるのでしょうか?
100回胸骨を押したら100回血液が出ていくのは当然と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、その1回1回の間に心臓にある一定量の血液が戻ってこなければ 次に出ていく分がなくなってしまいます。つまり100回押して100回心臓から血液が出ていくためには、100回のそれぞれに、押して出ていく血液と同じ量だけ心臓に戻ってきて貯まっている必要があるわけです。あまり1分間あたりの回数が多くなってくると、この戻ってくるための時間がどんどん短くなるために、戻ってくる量が減ってきて、どこかのタイミングで貯まることなく減っていってしまいますよね。

100回/分あたりまでは回数を増やすごとに徐々に出ていく量が増えていくことからこの回数が推奨されており、逆に これよりゆっくりの場合は早くするようしっかりと指導されます。ではこれ以上さらに早くなるとどうなっていくのでしょうか?実は100回からさらに早くなったとしても、140回くらいまでは心拍出量はあまり変わらないというデータがあります。なので、120回を超えているからといって、目くじら立てて“早すぎ!”と怒るのはちょっと違いそうです。ただし、回数が早いとより早く疲れてしまい、結果としてその後遅くなってしまう、というデータもあるため、なるべく早くなりすぎないために120という数字が設定されたようです。

弊社で行っております急変対応セミナーのコースでは、このような点も注意しながら指導しています。
病院や福祉施設などはもちろん、個人向けのコースも開催しておりますので ぜひ受講をご検討ください。

「急変に直面した時 対応が合っていたのかいつも不安になる」「突然の急変対応に ストレスを感じている」「自信がない」…といった不安を解消するための個人用コースです。

第三回は 少し先になりますが以下の日程で開催いたします。
ご自身はもちろん お知り合いやお仲間にもぜひご紹介いただければ幸いです。

また、急変対応セミナーの開催やご相談などございましたら、お気軽にご連絡をお待ちしております。

株式会社 日本医療向上研究所
代表 / 医師 貞廣 智仁

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