人工呼吸の際に最も気をつけることは?
こんにちは。日本医療向上研究所の貞廣です。
定期的に当ブログで配信しております心肺蘇生四方山話。
第五回目のテーマは「人工呼吸の際に最も気をつけることは?」です。是非ご一読ください。
心肺蘇生四方山話 第五回
―人工呼吸の際に最も気をつけることは?―
前回に引き続き 今回も人工呼吸についてのお話です。とても基本的なことで かつ最も気をつけなければならないことについてお伝えしようと思います。
これまでさまざまな職場で何度も急変の現場にかけつけました。慣れない急変に対して いつもだいたい大混乱に陥っているのですが、そのような現場でよく目にした とても気になった光景は「バッグバルブマスクのマスクを片手で一生懸命口に押し当て、もう片方の手でバッグを目一杯握りつけている姿」でした。何度もバッグを握っているのですが、残念ながら空気は肺にあまり入っていっておらず、ほとんどマスクの脇からもれてしまっている状況でした。
もちろんマスクを保持する方法である“EC法”をつかってマスクを片手でしっかりと顔に密着させて、押し込んだ空気が漏れないようにするのはなかなかのテクニックが必要です。このテクニックが足りない、ということもあったのだと思います。ただ根本的な問題として、しっかりとした頭部後屈あご先挙上の気道確保がなされておらず、そもそも空気が喉を通らない状況になってしまっている、そこに気がついていない、ということが多々あったのです。
EC法の“E”は、第3から5指をつかって“E”字を描きますが、この指先を下顎に引っ掛けて、これを自分の体に引き寄せることで 結果として頭部後屈あご先挙上と同じ状況を作ります。これによって初めて気道が確保され、送り込んだ空気が舌根部を通過して気管に送られることになります。バッグバルブマスクを用いた人工呼吸のテクニック以前の問題として、意識がない患者さんは気道確保が必要であること、この場合に(外傷などがなければ)まずはしっかりと頭部後屈あご先挙上を行う必要があることを 今一度再認識したいと思います。そしてこの操作をする場合、自分が患者さんの脇に位置するととてもやりにくく(実際にやってみるとわかります)、頭の上にいた方がとてもスムーズです。
以上、人工呼吸の際に必要なことの中で最も基本的なことをお伝えしました。
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