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心肺蘇生四方山話

胸骨圧迫は なぜ30回続けるのか?

こんにちは。日本医療向上研究所の貞廣です。

先日1/28(日)、「心肺蘇生ベーシック個人用コース」第一回を開催させていただきました。あらためて活動報告いたしますが、一部 その時の様子をご覧いただければと思います。

参加者様には 事前にアンケートをとらせていただき、これまでのご経験や現場でのお悩み、そしてこの機会に学びたいことなどを具体的に伺って、当日はそれぞれの課題をクリアできるよう進めさせていただきました。

第二回は 以下の日程で開催いたします。
ご自身はもちろん お知り合いやお仲間にもぜひご紹介いただければと思います。

―胸骨圧迫はなぜ30回続けるのか―

第一回では、胸骨圧迫と人工呼吸の最適な比率が徐々に変化してきたことについてお伝えしました。この変化をおさらいすると、胸骨圧迫と人工呼吸の回数がそれぞれ5回:1回だったものが 2000年に15:2、2005年には30:2と変化しています。
>>第一回のブログ「”いざ” という時に適切な急変対応を」

よくよく考えてみると「胸骨圧迫を30回やって人工呼吸を2回やるのであれば、胸骨圧迫15回に人工呼吸1回でもいいのでは?」と思いませんか?

これに答えることのできる明確なエビデンスは存在しないようですが、一つだけ言えることがあります。
それは 胸骨圧迫を連続すると「少しずつ血圧が上がっていく」ということです。

以前 集中治療室で勤務していた際には、多くの患者さんに動脈圧測定用のラインが確保されていて、モニターに動脈圧が連続的に表示されていました。この患者さんが急変した場合、もちろん直ちに胸骨圧迫が開始されるのですが、胸骨圧迫一回ごとにどれくらいの血圧が出ているのか連続的に見ることができます。1回目はおよそ40mmHgくらいの血圧ですが、その後 胸骨圧迫を繰り返すごとに徐々に上昇し、10数回目で60mmHgくらいになって横ばいになっていました。

この事実は、以前の5:1の時代には、5回胸骨圧迫をやって徐々に血圧が上がって行く、その途中で人工呼吸に切り替わり、また血圧は振り出しに戻って5回徐々に上がっていく、これを繰り返していたことになります。15回への変更は5回に比べればはるかにましですが、どうせなら血圧が上がった状態を維持しながら しばらく連続して胸骨圧迫を行いたいですよね。その点で考えると、15:1よりは胸骨圧迫の連続する回数が多い30:2の方がよりよいかもしれない、と考えられます。

そして そう考えると、30回よりさらに回数を増やしていったらより効果があるのでは・・・とも思ってしまいますが、実際に動物実験なども含め かなりいろいろな検討が行われてはいるものの、適切な比率と連続する回数についてはまだ明確なエビデンスは存在しないようです。このため現時点では胸骨圧迫について少なくとも不要な中断を避け、なるべく30回連続して行うことを心がけたいものです。

実際のコースでは、こういったところも分かりやすく説明しています。
ぜひ 3月開催の心肺蘇生ベーシックコースへのご参加をお待ちしております。

また、急変対応セミナーの開催やご相談などございましたら、お気軽にご連絡をお待ちしております。

株式会社 日本医療向上研究所
代表 / 医師 貞廣 智仁

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